皆様こんにちは!相続税に強い高須賀会計事務所です。
今回は未登記の賃貸ビルを相続し時の対応について解説したいと思います。
未登記賃貸ビルを相続した
Aさんは親から未登記の賃貸ビルを相続しました。
登記がされていないため、謄本を確認しても誰が所有者であるかはわかりません。
相続人であるAさんが建物の所有者(賃貸人)であることを賃借人に対して証明し、
今後の賃料を受け取るためにはどのような手続きを取る必要があるのでしょうか。
表示登記と所有権移転登記が必要
相続人であるAさんは未登記建物の表示登記と所有権保存登記が行うことで、賃借人に対してAさんが賃貸人の地位を承継したことを主張・証明できるようになります。
所有権保存登記について
所有権保存登記が完了されていないうちは賃借人にとって誰が所有者であるかがはっきりせず賃料の二重払いの危険等もあります。
所有権保存登記後は、誰が所有者であるかを賃借人が明確に知り得ることができるため、新所有者であるAさんは自身が賃貸人であることを賃借人に主張できるようになります。不動産物件が移転したという事実の確実な証明としての所有権保存登記がなされることで相続人は賃料を受領することができるのです。
賃借人の承諾
一方、借り手である賃借人にとって賃貸借契約の主たる目的は、建物をこれまで通り使用収益することであり賃料等の賃貸条件が変わらない限り所有者が誰であるかによって賃貸借の目的を害されることはありません。そのため、賃貸人の地位の承継に関して賃借人の承諾は不要と解されています。
ただし、実務上は、トラブル防止などのため賃借人に対して賃貸人の地位の承継を書面で通知することが多くなっております。また賃貸人の地位が承継される場合は、賃貸借契約に伴い、前賃貸人に預託されていた敷金または保証金の返還債務も新賃貸人のAさんに承継されることとなります。
表示登記とは
不動産の物理的現況を明らかにするため、不動産登記簿の表題部になされる登記のことであり、不動産登記法では建物を新築もしくは未登記建物を取得した日から1ヶ月以内に申請するように定められています。
また表示登記を行わない場合には十万円以下の過料に処せられる可能性があります。
所有権保存登記とは
所有権の登記のない不動産について最初に行われる所有権の登記のことです。
表示登記とは異なり、所有権保存登記をするか否かは所有者の任意となっています。
表示登記は必要
なお、建物を新築購入する際、当該建物等を担保にして金融機関から融資を受ける場合は表示登記及び所有権保存登記を行う必要があります。
一方自己資金により建物を新築購入とする場合は当該建物の登記を行わなくても問題ないとの誤った認識の下、費用削減の目的で表示登記がされていない未登記建物が散見されております。抵当権設定の有無に関係なく表示登記は必ず行う必要があります注意をしてください。
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