1年間に110万円を超えて贈与を行うと、贈与税が発生することはよく知られていることだと思いますが、
住宅取得のための資金を贈与を行った場合には特例があることをご存知でしょうか?
本日はこの住宅取得資金の贈与について、デメリットも踏まえて解説をしたいと思います。
住宅取得等資金の非課税の特例について
まず、住宅取得等資金の贈与税の非課税の特例とは何かですが、「2015年1月1日~2021年12月31日までの間に、父母や祖父母など直系尊属からの贈与資金により、自分が住むための住宅を取得した場合に、一定の限度額まで贈与額を非課税にするという特例」のことをいいます・
贈与者は、親はもちろんのこと祖父母や曽祖父母やさらに上の世代でもOKです。しかし、配偶者の親や祖父母は認められませんので注意しましょう!
非課税はいくらまで?
非課税限度額は、家屋の種類ごと(省エネ住宅かどうか)、契約締結日、消費税率が8or10%、によって異なります。
*契約締結日とは、住宅用家屋を新築するための請負契約等の契約締結日のことです。
贈与契約の締結日ではありませんので注意しましょう!
*省エネ等住宅というのは、省エネ等基準に適合する住宅用の家屋であることにつき、一定の書類により証明されたものをいいます。
非課税限度額は下表のとおりです。
消費税が8%の場合
契約の締結日 | 省エネ等住宅 | 左記以外の住宅 |
~2015年12月31日 | 1,500万円 | 1,000万円 |
2016年1月1日~2020年3月31日 | 1,200万円 | 700万円 |
2020年4月1日~2021年3月31日 | 1,000万円 | 500万円 |
2021年4月1日~2021年12月31日 | 800万円 | 300万円 |
消費税が10%の場合
契約の締結日 | 省エネ等住宅 | 左記以外の住宅 |
2019年4月1日~2020年3月31日 | 3,000万円 | 2,500万円 |
2020年4月1日~2021年3月31日 | 1,500万円 | 1,000万円 |
2021年4月1日~2021年12月31日 | 1,200万円 | 700万円 |
この特例と贈与税の基礎控除(年間110万円)は併用できるので、特例の非課税限度額+110万円の贈与をその年に非課税で受けることができます。
受贈者の要件
次の要件を全て満たす受贈者が非課税の特例対象者となります。
・贈与を受けた時に贈与者の直系卑属(子や孫)であること。
※配偶者の父母(又は祖父母)は直系尊属には該当しませんが、養子縁組をしている場合は直系尊属に該当します。
・贈与を受けた年の1月1日において、20歳以上であること。
・贈与を受けた年の年分の所得税に係る合計所得金額が2000万円以下であること。
・2009年分から2014年分までの贈与税の申告で「住宅取得等資金の非課税」の適用を受けたことがないこと。
・自己の配偶者、親族などの一定の特別の関係がある人から住宅用の家屋の取得をしたものではないこと、又はこれらの方との請負契約等により新築若しくは増改築等をしたものではないこと。
・贈与を受けた年の翌年3月15日までに住宅取得等資金の全額を充てて住宅用の家屋の新築等をすること。
※受贈者が「住宅用の家屋」を所有する(共有持分を有する場合も含まれます。)ことにならない場合は、この特例の適用を受けることはできません。
*この「新築等」には、純粋な新築だけではなく、新築のための土地の取得や、増改築も含まれます。
なお、対象となる住宅用の家屋は日本国内にあるものに限られます。
・贈与を受けた時に日本国内に住所を有していること
・贈与を受けた年の翌年3月15日までにその家屋に居住すること又は同日後遅滞なくその家屋に居住することが確実であると見込まれること。
※贈与を受けた年の翌年12月31日までにその家屋に居住していないときは、この特例の適用を受けることはできませんので、修正申告が必要となります。
新築、取得又は増改築等の要件
「住宅用の家屋の新築」には、その新築とともにするその敷地の用に供される土地等又は住宅の新築に先行してするその敷地の用に供されることとなる土地等の取得を含み、「住宅用の家屋の取得又は増改築等」には、その住宅の取得又は増改築等とともにするその敷地の用に供される土地等の取得を含みます。
*対象となる住宅用の家屋は日本国内にあるものに限られます。それぞれの細かい要件は+をクリックして確認してください。
特例が適用されない場合
・贈与を受けた翌年の3月15日までに家屋が出来上がらない場合(工事が完了に準ずる状態にある場合を除く)
・贈与を受けた翌年の12月31日にまでに住んでいない場合
・住宅ローンの決済後に贈与を受けた場合
小規模宅地等の特例を受けられなくなる
小規模宅地等の特例とは、相続税の申告時に宅地の評価額を330㎡まで8割減できる特例です。
この小規模宅地の特例には適用要件があります。
配偶者が相続した場合には要件は無いのですが、他の親族は住宅を新築・取得してしまうと小規模宅地等の特例を受けることができなくなります。
そのため、今回ご紹介した住宅取得資金の非課税特例を利用すると、小規模宅地の特例は使えなくなってしまうのです。
住宅取得等資金の非課税の特例は申告が必要
住宅取得等資金の贈与を受けた場合、限度額の範囲内であれば贈与税は発生しないこととなります。
税金が発生しないのであれば何もしなくて良いと思われるかもしれませんが、申告が必要です!!
贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間に、納税地の所轄税務署に、下記書類等を提出してください。
①非課税の特例の適用を受ける旨を記載した贈与税の申告書
②戸籍謄本
③登記事項証明書
④新築や取得の契約書の写し
適用可否はチェックシートが便利
適用可否はチェックシートを利用をすると便利です。国税庁の発行する公式チェックシートへのリンクを貼っておきました。是非活用しましょう!
1枚目は適用できるかどうかのチェック
2枚目は申告するための添付書類のチェック
を行うことができます。
チェックシートは、新築・取得用と増改築用の2種類があり、以下のリンクからダウンロードができます。
平成30年分・住宅取得等資金の非課税チェックシート(新築又は取得用)
平成30年分・住宅取得等資金の非課税チェックシート(増改築等用)
非課税限度額以上に贈与を受ける場合
非課税限度額の範囲内に贈与額がおさまれば問題ありませんが、場合によっては非課税限度額以上の贈与を行いたいとケースもあるかと思います。その場合の対応を紹介したいと思います。+をクリックすれば内容が表示されます。
以上となります。相続税や贈与税のことでお困りのことがあれば高須賀会計事務所までお問い合わせください。
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